在宅医療の薬剤師のススメ!

病院薬剤師ってどんな仕事内容?

「病院で働いてみたいけど、仕事内容ってどうなの?」「年収は低い?高い?」と思っていませんか?病院で薬剤師として働くことに興味はあっても、病院薬剤師の実情が分からなくて転職先として決めきれない…という人も多いはず。そこで今回は、病院薬剤師の仕事内容や年収、待遇についてお話ししていきます。

病院薬剤師ってどんな仕事内容?

病院薬剤師の仕事内容は、主に以下の11の分野に分かれます。病院は部署が多いので、これらの業務を一通り、一人の薬剤師が行うという訳ではなく、部署によって役割は分かれます。

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    調剤業務

医師からの処方箋に基づき、患者さんにお渡しする薬を調剤します。調剤する薬は、外来患者さんと入院患者さんに分かれ、以下のような流れで行っていきます。

  1. 処方箋に記載されている内容を確認(鑑査)→必要に応じて医師に確認(疑義照会)
  2. 錠剤や外用剤といった、処方箋に記載されている内容に合わせて薬を揃える(計数調剤)。必要に応じて服薬しやすいよう、常在を服用毎に、機械を利用して一包にまとめる(一包化調剤)
  3. 散剤を処方箋に記載されている薬の剤形や服用量、服用方法等を考慮した上で、正確に量る(計量調剤)
  4. 薬が処方箋通りに調剤されているかを、調剤した薬剤師とは別の薬剤師が確認する(最終鑑査)
  5. 患者さんが正しく服用や使用できるように情報提供を行う。患者さんに薬を処方

  • 製剤業務

製剤業務とは、薬剤師によって病院内で調整した薬をそのまま院内で使用される製剤のことを指します。院内で使用する薬は、薬物治療上のニーズや患者さんの症状に合わせて薬を調整しています。これによって、QOLの向上に繋がるのです。ここで調整されている製剤や、内服薬から注射剤と多岐に渡りますので、院内製剤は薬剤師自身の知識やスキルが必要になります。

  • 注射調剤業務

特に急性期の病院の場合は、患者さんの症状や疾患に応じて、処方内容が変わります。そのため薬剤師が処方箋を元に、入院患者さん一人ずつ使用する注射薬を1回分ずつ投与していきます。注射薬は、患者さんの血管内に直接投与されるので、細心の注意を払って調剤します。

患者さん一人ひとりに対し、一本ずつ調剤するので大変に思われるかもしれませんが、最近では注射薬の配合禁忌や相互作用などといった確認作業にロボットが導入されるなど、大半の病院で機械化が進んでいます。

  • 注射薬混合調整業務

主にアンブルやバイアルに入った注射薬を点滴内に混ぜ、患者さんにすぐに使用できる業務のことです。例えばがん化学療法で使う薬なども、多くの注射薬が使用されています。特に、この業務では衛生管理に注意を払っており、がん化学療法に用いるお薬においては防護服を着用、安全キャビネットという整った設備内で調剤を行います。

  • 外来化学療法室

外来で抗がん剤を点滴する患者さんに向けた、薬剤を調剤する業務です。レジメン(抗がん剤治療の計画書)のチェックや抗がん剤の調整、抗がん剤治療の説明、副作用の確認、医師に処方箋の提案などを行います。

  • 救命救急業務

救命救急センターで行われる業務です。救急搬送された患者さんに対し、お薬の選択や投与量、投与方法などを薬剤師が確認し、調整していきます。救命救急では刻一刻と患者さんの容態は変化していきます。常に適切な処方箋を行うためにも、薬の在庫管理も大切な業務です。

  • 医薬品情報業務

DI室とも呼ばれており、医薬品に関する情報を取り扱っている部署です。収集した医薬品の情報を管理し、医師や薬剤師、看護師といった院内スタッフや、患者さんへ情報提供していきます。

  • 治験業務

治験業務のある病院であれば、新薬の臨床試験に薬剤師も携わります。病院の規模や、種類によっても治験業務がある病院・ない病院は分かりますので、治験業務に携わりたい薬剤師の方であれば、情報を集めるようにしましょう。

病院薬剤師のメリット・デメリット

以上のように、病院薬剤師の業務内容はとても幅広いです。では、病院薬剤師のメリットとデメリットを見ていきましょう。

≪病院薬剤師のメリット≫

①幅広い種類の薬剤を扱うことができる

病院にもよりますが、総合病院であれば内科から外科まで、外来も入院患者さんも幅広い疾患の方がいます。その分、扱う薬剤の種類も多いので、その分薬剤の知識を身に付けることができます。

②患者さんに向き合いながら最新の医療に携われる

調剤薬局やドラッグストアの場合は、患者さんの病状や医師の治療方針を把握することはなかなか難しいです。しかし、病院であれば患者さんと向き合い、一歩踏み込んだ服薬指導を行うことができます。

≪病院薬剤師のデメリット≫

①夜勤や当直がある

病院は24時間365日運営していることもあり、病棟配属の薬剤師であれば夜勤や当直があります。その為、勤務時間や勤務日数が長くなってしまう可能性が高いです。もちろん、年間休日120日以上の病院を選ぶことができれば、一般企業並みにお休みの日数を取得することも可能です。しかし、調剤薬局のようにカレンダー通りのお休みをとることは難しいので、薬剤師の人数体制にもよりますが、長期休暇でない限り連休を取得するのは難しいといえます。

②病院薬剤師はベテランの薬剤師が多く、すぐに病棟に配属されない可能性も

「病院薬剤師になったら、病棟に配属されたい」という薬剤師さんもいるかと思いますが、元々病院薬剤師の経験がないと、すぐに病棟に配属されるのは難しい場合があります。元々新卒や院生の時から勤務している薬剤師も多数いるためです。しかし、病院によっても状況が違いますので、情報を集めながら応募先は決めた方がいいです。

病院薬剤師の年収は?平均と年齢別に解説

病院薬剤師の年収の平均は、調剤薬局やドラッグストアなど、他の職場に比べると年収相場は低いと言われています。例えば、関東の民間病院で働く30歳の病院薬剤師の場合、年収の平均は350~400万円程度です(病院の規模や種類によっても変わります)。

急性期病院であれば経験を積める反面、年収は安い傾向にあります。一方で療養型病院は年収が高い傾向にあります。しかし急性期病院のように入退院のサイクルが多い訳ではないので、いつも決まった患者さんに対して、同じ治療を行う形になります。その為、スキルアップは難しいのです。もちろん、スキルと希望の給料を叶えられる病院も中にはあると思いますが、場合によってはスキルと給料、どちらを優先するのを決めておく必要もあるかもしれません。

ここで、年齢別で病院薬剤師の平均年収をご紹介します。

25歳 320万円
30歳 390万円
35歳 435万円
40歳 480万円
50歳 530万円

これはあくまでも一例なので参考程度にしていただければと思います。病院の法人(民間なのか国立なのか)によっても、昇給の幅は変わります。一見他の職場に比べると病院薬剤師の給料は低めですが、では待遇の良し悪しはどのような傾向があるのか見ていきましょう。

病院薬剤師の待遇って実際どうなの?

病院薬剤師の待遇の良し悪しは、正直なところ病院によっても変わりますし、それぞれの薬剤師さんが給料やスキルなど、何を優先したいかにも変わります。

①ケース1:給料が少しでも高い病院に転職したい

初任給から給料が高い病院に転職するのはなかなか難しいですが、将来を見据えて給料を高くしていきたい、ということであれば、国立病院や公立病院で、公務員として働くことがおすすめです。福利厚生やお休み(公休だけでなく有給休暇も)しっかりとした待遇が受けられます。そしてなんといっても、勤続年数が長くなればなるほど、年収も順調に上がっていくことが魅力の一つです。初任給は民間病院とさほど変わりませんが、経験を重ねていくにつれて、民間病院で働く薬剤師と年収に差がついてきます。退職金もきちんと出るので、何よりも安定を求めたい、という薬剤師さんにはおすすめできます。ただ、その分民間病院に比べると採用ハードルは高くなりますので、面接対策はきちんとした方が良いです。

②ケース2:やりがいが得られる病院に転職したい

病院には急性期はじめ、療養型病院や回復期リハビリテーション病院、緩和ケア専門病院など幅広い種類の病院があります。自分が特定の疾患の医療に携わりたいのか、それとも幅広い分野の疾患の薬剤を扱いたいのかを考えてみましょう。それぞれの病院によって強みは違いますので、自分の方向性に合わせて病院を選びましょう。

③ケース3:やりがいと給料よりも、時間を優先したい

仕事よりもプライベートの時間を優先したいという場合は、療養型や回復期など、患者さんの症状が比較的安定している病院がおすすめです。急性期に比べると残業が少ないですし、治療がおおむね決まっているので、扱う薬剤も広くありません。とはいえ、一概に療養型と回復期であれば、全ての病院で残業がない…という訳ではありません。忙しくて毎日のように残業のある病院もありますので、事前に調べてから求人に応募するようにしましょう。

条件のいい病院薬剤師の求人はどこで見つかる?

これまで病院薬剤師の年収や仕事内容、待遇についてお話ししてきましたが、条件のいい病院薬剤師に転職するにはいくつか方法があります。

①薬剤師専門の転職エージェント

②薬剤師の求人情報を扱うサイト

③ハローワーク

この中で私が一番おすすめしたいのが「薬剤師の転職エージェント」です。病院薬剤師に転職するのであれば、転職エージェントを使った方が入社後も長く働き続けられるからです。実際に転職エージェントを通じて病院薬剤師になった方々は多くいるので、そういった転職者の体験談や、気になる病院の内部事情、病院薬剤師の離職率などを聞くことができます。こういった情報は病院のイメージにも関わるので、表に出ることがほとんどありません。その為、誰でも見られる求人サイトや、ハローワークなどの公的機関では知ることができない情報になります。

「せっかく病院薬剤師になったけど、思ったような仕事と違った…」とならずに、長く働けるよう、しっかり事前にリサーチしてから転職するようにしましょう。

≪参考URL≫

病院薬剤師の労働環境と年収について

http://yakuzaishiharowa.com/hospital/hospital_annual_income.html#5

病院薬剤師の平均年収について

http://www.onenationworkingtogether.org/4

病院薬剤師のメリット・デメリット

https://www.38-8931.com/hospitalpharmacist/revelation.html

病院薬剤師の仕事内容

https://www.thpa.or.jp/pharmacists-work

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